机上面では難しい「照明設計」
ゲレンデを滑走しながら、照明器具の配光角度を決定します。
・・・弊社が考えるLED化計画の手順・・・
- 事前調査。現状把握の為、既存照明の環境で滑走し照度や光ムラなどの問題点を把握。(ゲレンデ作業)
- その際に、パトロール隊の意見を聞き、事故の発生場所や時間帯なども参考にする。
- 照明器具の選定と照射実験。 照射実験は雪上の方が配光等を確認しやすい。選定条件は弊社の基準で考慮。(重要項目)
- 机上面での照明設計。照度シミュレーション含む
- 器具発注。 ほとんどの器具は受注生産品の為、納期は事前確認する必要がある。
- 現場指示書の作成。配光角度を決めた照明設計を確実に工事に反映しなければなりません。工事作業をする方と綿密な打ち合わせが必要になります。
- 角度調整作業。ここが一番重要な作業。工事完了後。シーズンが始まった直後に作業します。実際にゲレンデに立ち、光の方向と角度を決めます。工事店さんにはご苦労お掛けしますが、この作業が光のバランスを決める大きな、大切な、重要な作業です。(最重要項目)
- 竣工。
照明設計は、事前調査でヒアリングした内容や測定照度を基に配光角度、ワット数、取付数を検討し、選定した候補器具の器具データを参考に組み合わせます。
ゲレンデでの作業
① 照度測定
② 照明柱と照射対象ゲレンデまでの距離
③ 起伏・傾斜
④ 斜度の変化する危険個所の把握(パトロールの意見を聞く場合もあります)
遠くまで光を飛ばす必要がある箇所やまんべんなく光を広げる必要がある場所等、その場所に立って設計図の基本を計画します。
その後、照度シミュレーションソフトを通し検証します。
照度シミュレーションデータは実測値とズレが生じる事を確認している為、データ結果を参考に設計を見直します。
上記の、白色の部分は100ルクス以上を示してますが、実際には500ルクスを超える場所もありました。逆に照度が低い場所もありました。
これは、最後の「角度調整」作業で大きく変わります。
よって、シミュレーションデータはあくまで参考値。
では、このデータの正確性や信憑性は?と思いますね。
照明器具の配光データは、各照明器具メーカーが公表している「IESデータ」を基にしてます。もちろんきちんとしたデータです。しかし、ゲレンデは広いこと、雪は白いため光りムラがわかりやすいこと、1台1台の照明配光の役割が重要で、ほんのわずかな角度のズレで、照度や明暗がはっきりと大きく変わります。ゆえに、最終仕上げの「角度調整」を考えながら照明設計をする必要があります。
この最終仕上げの確認は、ゲレンデの下部から上部を見上げた時にムラなくきれいに見えても、滑走する方向(上部から下部)では明暗が大きくなる場合が多い傾向です。そのため、実際に滑走し、滑走する目線で角度調整の指示をする必要があります。
起伏差が大きく照明柱の間隔が広い個所などは、場合によって、下部から上部方向へ光を向ける必要がある場合も生じます。その場合眩しさ(グレア)が生じますが、その眩しさを軽減するギリギリのところを調整する技術が必要になります。
照明設計の依頼は info@design-akari.com より。